教科書をみんなが「読める」形に
-デジタル化で見失いたくないアクセシビリティ
3人の先生のニュースレターは、こどもの発達や障害、広く保育や教育に関して気になるニュースや最新の研究を取り上げます。川崎・奥村・荻布のそれぞれの専門性を活かしながら子どもの発達支援や教育・社会福祉のエビデンスを深堀し、経験値をエビデンスとして皆様の生活に還元しようとする試みです。根拠の乏しいハウツーとは一線を画して、間違いの少ない情報を届けたい人に届けていくことを目標にしています。

デジタル教科書については、期待と不安の両方があります。文字を大きくしたり、音声で聞いたり、読み上げている場所をハイライトで示したりできることは、紙の教科書にはない大きな可能性です。一方で、画面で読むことの負担、注意がそれやすくなること、紙の教科書で培われてきた学び方がどう変わるのかを心配する声もあります。実際、紙と画面での読解を比較した研究では、課題や条件によって紙の方が理解しやすい場合があることも報告されています(Delgado et al., 2018)。
そのため、デジタル教科書について考えるときには、「紙がよいのか、デジタルがよいのか」という二択だけでは十分ではありません。大切なのは、子どもが教科書の内容にどのようにアクセスできるのか、そして、その方法を子どもの状態や学習場面に応じて選べるのかという視点です。
この記事では、デジタル教科書の中でも、読み上げやハイライト表示などのアクセシビリティ機能に注目します。デジタル化を単に紙の教科書を画面に置き換えるだけで終わらせないために、教科書をみんなが「読める」形にするとはどういうことかを考えてみます。