その検査結果、子どもの生活につながっていますか―検査結果を「支援の言葉」に翻訳する―
3人の先生のニュースレターは、こどもの発達や障害、広く保育や教育に関して気になるニュースや最新の研究を取り上げます。川崎・奥村・荻布のそれぞれの専門性を活かしながら子どもの発達支援や教育・社会福祉のエビデンスを深堀し、経験値をエビデンスとして皆様の生活に還元しようとする試みです。根拠の乏しいハウツーとは一線を画して、間違いの少ない情報を届けたい人に届けていくことを目標にしています。

検査を受けた。それで、どうしたらよいのだろう?
子どもの発達や学習が気になって相談に行くと、自然と「検査」という言葉に出会います。インターネットやSNSで検索しても出会いますし、相談した先で勧められることもあるでしょう。きっと子どもの困りごとの理由を知りたい、子どものことをもっとよく理解したい、子どもにとって必要な支援を知りたい、そこには様々な思いや期待があります。時間や費用をかけて検査を受けた後、多くの場合-「必ず」と書きたいところですが-、検査結果を口頭や書面で詳しい説明をうけます。全般的な発達の様子や、得意・不得意なこと、それらを数値や専門的な視点を交えながら、詳しく説明してもらえるでしょう。もしかすると我が子のことを丸裸にされたような気持になるかもしれませんし、全てがわかったような気持になるかもしれません。では、検査を受けて子どもの特徴が分かったとして、それによって明日からの生活や学習は何が変わるのでしょうか。
けれど家や学校に戻ると...明日から生活や学習の何を変えればよいのか。どの課題へ挑戦は続け、どの課題は調整するとよいのか。子ども本人には、結果をどのように説明すればよいのか。分からなくなってしまうことも少なくありません。検査で「わかったこと」と、実際に「支援としてできること」との間には少し距離があるのです。「その距離をうまく埋めて説明するのが専門家ではないのか」という声も聞こえてきそうですが、専門家が子どもと関わるのは、主に検査場面という限られた環境の中です。結果を説明する際には、日常の様子を伺いながら、検査と生活の間をつないでいこう、間にある隔たりを何とか埋めようとします。それでも、やはり専門家が子どもの生活をすべて把握することはできません。だからこそ、子どもの普段の様子をしる保護者や学校の先生方の視点が必要不可欠なのです。
子どものことをより深く理解しようとしたとき、検査結果を得ることがゴールではありません。検査結果によって、これまで気づきにくかった子どもの側面を知り、子どもの生活や学習を考え直していく。検査結果はそのための出発地点になるのです。