速度・正確さだけではわからない読みの困難さ【動画公開】
3人の先生のニュースレターは、こどもの発達や障害、広く保育や教育に関して気になるニュースや最新の研究を取り上げます。川崎・奥村・荻布のそれぞれの専門性を活かしながら子どもの発達支援や教育・社会福祉のエビデンスを深堀し、経験値をエビデンスとして皆様の生活に還元しようとする試みです。根拠の乏しいハウツーとは一線を画して、間違いの少ない情報を届けたい人に届けていくことを目標にしています。継続的な執筆のためにぜひサポートメンバー登録もお願いいたします。
10月17~18日に日本LD学会第34回大会が東京で開催されました。その際、自主シンポジウム「フォントや背景色などの文字の表示形式・媒体の違いが読むこと書くことにもたらす効果とは?」を企画し、3人が順番に話題提供をしました。この企画に至る思いはと言いますと…
発達障害児者では「文字を読み書きするときの表示形式や使用媒体(フォント、行間、背景(紙)色、ハイライトの有無やその色)を工夫すると読み書きしやすくなる」ことが経験的に知られています。また当事者の声をもとにして読みやすいフォントや見やすい色紙を用いたノートが開発、製品化され一般に広まってきています。当事者の声に耳を傾けると表示形式や使用媒体を変容させることで何らかの効果が得られていることは確からしいものの、その科学的な検証は十分とは言い難く、また知見の傾向は一致していません。この背景として対象(どの発達障害を対象とするか、あるいは典型発達も含めるのか?)や従属変数の設定(何を効果とみるか?どの程度の効果が得られるのか?)の課題や、読み書きは生得的な側面だけではなく経験的な側面によっても「読みやすさ・書きやすさ」に影響がおよんでいると推測されることなどが想定され、これらの要因が整理されないままに「効果がある」との認識だけがひとり歩きしてしまっているように感じられます。
このシンポジウムの時点では、まだまだ全てを明らかに出来ているとは言い難くあくまでも「検討の途中」ではありますが、現時点で3人それぞれが、文字の読み書きと表示形式や使用媒体との関係を明らかにしようとした研究知見を報告してきました。1回目は「読みと自立神経指標と時間的変化の検討ー表示形式や使用媒体の効果検証に向けてー」の要点です(公開期間は12/3~12/17までの2週間)。
今回の動画では、「読みと自律神経の変化」という少し聞き慣れないテーマを取り上げています(奥村)。