宿題の意味はどこにあるのか?学習に困り感のある子どもの宿題問題-その①-

宿題って何のために出されているのでしょうか?自分が子どものころを振り返ると宿題にいい思い出はほとんどないのに、宿題はあたり前に出されるもので、あたり前にしないといけないもの、と大人になっても宿題に関しては思考停止気味になっているような気がします。いったん立ち止まって、宿題とは何か?その意味はどこにあるのか?について考えます。(荻布)
川﨑・奥村・荻布 2025.09.29
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宿題とはなにか?を定義してみようと思ったところ…。  

 わたしたちの育ちの過程を振り返ったとき、「宿題」を一度も経験したことのない人はいないだろうと思います。宿題は多くの人にとって馴染み深いキーワードであり、私の推測の域を出ないもののポジティブな思いでだけで宿題を説明できる人はいないのではないでしょうか。

 自分の子ども時代も、また子どもを育てる側にまわっても私たちの頭を悩ませ続ける宿題は、その学術研究は少なく、教育用語としての「宿題」という言葉の定義は見当たりません。というか教育基本法にも学校教育法にも、学習指導要領にも宿題という言葉は出てこないようです。たとえば学習指導要領(2017)に「家庭との連携を図りながら児童の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない」 というところが、文部科学省が宿題に言及している唯一のところのようです(宮崎,2022)。

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続きは、7169文字あります。
  • 宿題のメリット/デメリット
  • 宿題を教師目線で種類分け…じつは意図がある?
  • いわゆる「宿題(反復練習)」を科学してみる
  • 宿題とどう向き合うか?

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